益々繁盛〜枡々半升
2013年 02月 08日
今回は節分をテーマとされました。
節分とは「季節を分ける」ことを意味します。季節の変わり目に生じると考えられている邪気(鬼)を豆をぶつけて追い払い1年の無病息災を願います。その豆を入れる「枡」を今回のコーディネートのモチーフとなさっています。

それも洒落っ気たっぷり。
「益々繁盛」と「枡々半升」をかけた言葉遊びです。
「枡々半升」とは・・・一升枡ふたつ重ねと半升枡ひとつを重ねること。
上に掲げた短冊には新しい年の暦が書かれています。
今年を昔のカレンダーにすると、こうなるそうです。

ふむふむ…
旧暦は今の太陽暦とは違い、月の満ち欠けをもとに作られていたので29日の月と30日の月を作り「大」が30日、「小」が29日と記されています。そうするとどうしても誤差が出てくるので3年に一度「閏月」が含まれた13ヶ月の年があったそうです。なんともおおらかな計算方法ですね。でも理にかなっています。
なるほど。。。。
それでは、素敵なテーブルをご覧くださいませ♪

Wさまは、偶然「枡つなぎ」という枡柄の名古屋帯を見つけられて、今回のコーディネートを思いつかれたんですって。その帯の手の部分がテーブルランナーとして使われています。

Wさまのテーブルコーディネートの見所は、すべて先祖代々受け継がれてきたお道具を使用されていることです。そこに新しいものを加えて独自の世界が作り出されています。
例えば、最近見つけれたというこの枡の菓子器、W家の屋号が「枡屋」であることから目にとまったそうです。いつもアンテナを張り巡らしておられるので次々とアイデアが浮かんでくるのですね。

鬼の絵皿と、福の・・・?これ何でしょうか。
実はたねやさんの福豆が入っていた箱のふたですって。


オレンジのランナー、お椀に合わせてフランス製のタッセルをお取り寄せ♪ナプキンリングとして用いて柊の葉を一枝添えて。
全く違和感がありませんね。

いよいよお料理です。実際にお料理を盛りつけてこそのコーディネートですもの。
二十四節季では立春が1年の始めとされています。その前日に当たる節分は大晦日に当たります。豆を撒いた後一年の厄除を願い年の数だけ豆を食べ、節分にちなんだ料理と年越しそばをいただくそうです。

炒豆 年越しそば 巻き寿司 鰯のつみれ入り沢煮碗 蓬胡麻豆腐
春野菜の御ひたし(こごみ ウルイ 黄ニラ しいたけ)
鰯の味醂干し そら豆型の和菓子

すべて手作り〜!


オレンジのお花をご用意させていただきました。アートですが、垂れ下がったカラスウリはご近所で見つけられたものだそうです。

すべてが本物で構成されたコーディネートに只々感心するばかりです。
実はWさまは昨年の夏に神戸で行われたテーブルコーディネート展で入賞されています。その作品はこちら
今回は東京ドームで行われるテーブルコーディネート展に応募される撮影のためにご用意されたものなのです。残念ながら今回は入賞は叶いませんでしたが、私はこのような素晴らしいものを独り占めできなくてここでご披露させていただくことにしました。
実はね、まだ続きがあるのです。
このコーディネートは応募作品として考えられたものですが、実際にお客様を節分の頃お招きになるご予定があり、そのための予行演習でもあったのです。
この趣のある燭台は全部で八基あります。赤は邪気を払うという意味があります。そのため和蠟燭は赤です。この燭台を用いて「夜咄の茶事」を開かれるそうです。
私はまだ経験がないのですが、「夜咄の茶事」は寒さ厳しい季節の夕方から行われます。
前茶、初炭、食事・・・という流れの中で燭台の数を増やしたり減らしたりと明かりを調節されるそうです。また、濃い茶や茶器の拝見時には「小灯」(ことぼし)という小さい明かりが一緒に回されるんですって。お茶道具も赤いもの、明るいものを用いるそうです。お着物ももそうなのでしょうね。暗闇で蝋燭の明かりのみの空間でどのように映るのでしょうか。その情景を思い浮かべると夢のような世界です。
昔の人は本当に粋な遊びを考えますね。

私ったら、お花のお届けと写真撮影のために伺ったのに美味しいお料理までごちそうになりました♪デザートに手作りのチーズケーキまで!どれも絶品でした。ありがとうございました。

Wさまのお茶事は来週だそうです。
素晴らしい会になりますように・・・
こんどお写真を見せてくださいね!
普段の生活からすっかり遠くなってしまった「和の世界」、今では意識的に取り入れていかないと後世に残せないような気がします。日本人の誇りを持ってもっと勉強しなくてはならないと思いました。Wさまのおもてなし「重陽の節句」は改めてご紹介させていただきます。